老いは突然やってくる~iphoneが開けなくてパニックに!~
派遣会社の営業のお兄ちゃんから電話が入った。
「○○○○○の☓☓☓ですが~。」
私はどうしてもこのお兄ちゃんの名前が聞き取れない。
耳が遠いのか、お兄ちゃんの滑舌が悪いのか。
派遣の件はお兄ちゃんの売り込みが上手くいっているらしく、今月中に
面接してくれるようだ。
良かった!お兄ちゃんありがとう!
これで少し気が楽になりましたよ、でも面接の結果でどうなるかわからないけれど。
とりあえず、50代の仕事探しは一歩前進したかな。
午後からは、買い出しに出かける。
3日ぶりの外出だ、ゴミ出し以外は家に引きこもっていたから。
久しぶりの外出はいい息抜きになるし、おひさまが眩しい。
50代無職の私にもおひさまは陽射しを照らしてくれる、ああ、ありがたい。
ショッピングセンターはSALEの真っ最中だが、物欲が消えたので、なじみのブランドの前を通っても、もうあれも欲しい、これも欲しいと心かき乱されることもなく、平安そのもの。
我ながら、素晴らしい変化!
朝、コーヒーだけだったのでお腹が空いてしまい、ファミレスに入る。
ピザとドリンクバーを注文。
エスプレッソで一息ついて、ピザをあっという間に平らげる。
あ~美味しかった。カフェラテを飲みながら、いつものごとくスマホを取り出し、
パスコードを入力するが、パスコードが違っていますと、表示される。
どうしたことか、何度やってもダメ。
iphoneは使用できません。5分後にやり直してください。
また、トライするが、ダメ。
iphoneは使用できません。15分後にやり直してください。
何、今度は15分後だと。
さすがiphone!セキュリティがしっかりしていると、感心してしまったが、
困ったことこの上ない。
その後何回やってもパスコードが違っていると出る始末だ。
さすがに焦った、手帳におぼえているパスコードを書いてみたが、どうやらそれが間違っているらしい、というか、最後の一桁がどうも違うような気がする。
ここのところ仕事もせずに家でブラブラしているから、頭が呆けてしまったのだろうか。
年寄りがよく自宅の電話番号を忘れてしまうことがあるというが、まさかこの私の身に
同じことが起きるとは!
諦めて家に帰って調べるしかないと慌てて、帰路についた。
家に変えるやいなや、すぐiphoneの契約書一式を引っ張りだし、パスコードを確認すると、やはり最後の一桁が違っていた。
いつもできることが突然できなくなると、パニックになる。
必死に思い出そうとしてもどうしても思い出せないと、ますます焦る。
これは間違いなく老化だ。いや、もしかしたら認知症か?
うちの父は晩年認知症を患っていたのだけれど、ある日、水道の蛇口が硬いと言い出したことがある。
私がするとフツーなのだが、父には固く感じるらしい。
要するに父の筋力が落ちてしまい、本人はその自覚が全くないので、硬い、硬いということになるのだが。
あの時私は、「固くないよ、お父さんの力が弱くなっちゃったのよ。」なんて、
冷たく言い放ってしまっとことを思い出す。
あ~なんて、酷いことを言ってしまったのだろうか。
パスコード忘れただけでドキッとして、老いを自覚して気分が塞ぐのに。
お父さん、ごめんなさい。
ある日突然、今まで普通にできていたことができなくなったり、覚えていたことを忘れてしまうということが、どんなに辛くショックなことか。
遅れ馳せながら理解できた。
人は、こうやって年を取っていくのだなと実感する。
自分では、結構若いつもりでいても肉体は正直だ。
50代になると身体が劣化してくるのを認めざるを得ない。
何だか、仕事のこともちゃんとできるか不安になってきた。
以前できてたことが、今もできるとは限らない。
自分の力を過信しては、いけないんだなぁ。
今後仕事に就く場合は謙虚にならねば、いくら経験があるとはいえ、できるはずという思い込は捨てて、一から取り組むつもりでいかねばならぬと肝に銘じるumekoなのでした。